2010年07月22日

私のふるさと

私のふるさと

いつもこの日になると懐かしく思い出す光景

夜の生あたたかい風にふわりと乗って
はしゃぎすぎてずり落ちる浴衣

じいちゃんのぶかぶか便所スリッパをぺたぺたはいて
昼間カンカンに渇いたアスファルトと
潮のつんとした匂いがする暗い道を
みんなで手をつないで歩く
遠くには波の音

うす暗い神社をぬけると
虫の音の ほら
その先には

遠くにオレンジ色の光がちらほら
潮風にのって聞こえてくる
太鼓に三味線 笛の音 ひとびとの歓声

私のふるさと


金魚すくい お面やさん 綿菓子 ヨーヨー かき氷

どれもこれもみんな宝の山のようにきらきらと輝いて
待ちきれなくて走りだす

ときどきずっこけては
ひざこぞうに血と涙がにじんで
でも鼻水をふいたらすぐにごきげん

かき氷で赤や緑になった舌を
妹とみせあいっこして笑い転げてた


なかでも一番の宝の山は
これ
私のふるさと


「そーれ ワッショイ ワッショイ!」
大きな山は子ども達の力だけでは
どうしようもなくて
おとなも総出でみんなでひっぱった

硬いイガイガした綱が手にからみついて
痛かったけどがまんした

でもどんなに一生懸命ひっぱても
神社前の広場にでてからは
もうそこは子どもがはいれない場所


「走れ走れ!」「危なかぞー!」
男たちの怒号とぎらぎらした目
とびちる汗

真っ赤な明かりにうつしだされる朱色の笛太鼓が
そのうえをくるくるとまわりはじめる瞬間

金色に輝く神輿は
それはそれは美しくて
お囃子の笛の音が
色っぽくて切なくて

いつまでも私の中でぐるぐるとまわっている


いつか自分のあのうえに乗るんだと思ってた

そんな海沿いの小さな小さなまちのお祭り
母が生まれた場所
わたしの第二のふるさと


今日もきっと あのまちには
いつものように あの笛の音が

耳をすましたら
潮風にのって ほら聞こえてくるよ

私のふるさと
私のふるさと









Posted by bearhand at 00:02│Comments(2)
この記事へのコメント
いいですね〜

ふるさとは誰にもあると言うけれど、これはBHさんのこころのなかの「時の時」(時は流れ去るけど、固定された時もある)ですね。

都会生まれのぼくには、この祭りの写真は夢の景色に見えます。
想い出はせつないほど、こころに残るものですね。
見守られてここまで来たのだから、これからも頑張って。

ところでコメントも良いけど、写真はBHさんが撮ったのですか?
Posted by キャラP at 2010年07月22日 23:42
昨日はありがとうございました。

写真はお話したとおりですが、夢の景色といっていただけてとてもうれしいです。

大好きだった祖父ももう今は亡くなり、海のすぐそばの古いお屋敷が残るのみです。

書も絵画も、陶芸の素晴らしさも全部この祖父から教わりました。

沖縄にここまで惹かれたのも、いつもあたたかく迎えてくれたこの祖父母と浜崎の海の思い出があったからかもしれません。

また今度ブログにまとめたいと思います。

いつも心配して色々と励まして頂き、心強いです。
ありがとうございます。

今度は、胃腸を万全してお会いするのをお待ちしています(笑)
Posted by bearhand at 2010年07月25日 15:16
 
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