2009年11月21日

自分の根っこ

自分の根っこ

こっちに来てよく感じること。
文化的な豊かさ。

もちろん、東京や都市の方が、美術館や映画館、その内容も比べられない。
上野にもよくいったし、歌舞伎だって、映画だってたくさん見てきた。

刺激的で文化的な街、TOKYO。

では、あなたは何かできるのかと聞かれて、はてと手がとまってしまう。

吸収するものばかりで、はたして、どれだけ表現できるのかと。

学生時代、モンゴルを旅した。
草原を馬で走りつかれた後、必ずみんなで焚き火を囲んだ。
馬乳酒とともに自然にでてくる、唄や踊り。

「さぁ今度は君たちの番だよ。君たちの国の唄を、何か聞かせてくれ」

地元のひとびとに期待をこめて言われて、私達は、困った。
国の唄って、まさかこんなとこで、君が代なんてあんな辛気臭い唄、歌えないし。
かといって、カラオケで歌うようなPOPSを歌ったとして、音程をごまかしてくれる機器があるわけじゃなし、そこまで自信がない。

100名近くいた学生の中で、唯一、名乗りをあげたのは、こてこての関西人。
結局、みんなで、六甲おろしを何回も歌うはめになった。
大草原にひびく、 阪神タイガース♪ の声。
きっとモンゴルの人は、日本の歌は、六甲おろしだと思ったに違いない。

そこで、私は、気付いたのだ。私の唄、私の踊り、私を私と明確に位置づけるものが、なーんにもないことに。
自分が積極的に学んでことなかったせいもある。
でも、自然に地域の中で育ってきたのに、何も教えてくれなかったおとなたちを恨んだ。
地元に愛着がないわけじゃない。今だって休みのたびには、帰るし、祭りだって好きだ。
でもそれらは、私をひきよせるぐたいの力はなく、結局、私は、どこにも根付いていないのだ。
同じような町並み、いとなみ、ひとびと、どこにでもあるような地方都市である故郷を離れることに、何の迷いもなかった。



こっちに来てみて、驚いたことは、自分を表現できる手段が、地域の中に根付いていること。
三線だとか、琉舞、空手や、エイサー、とくに最近の子ども達は、学校で習っている子も多い。

今日獅子舞の練習だからさー

テスト前でも平気で休む。

…正直うらやましい。

ずっと続けるわけではないかもしれない。でも、きっとそれは、どこかで彼らの根っことなり、記憶となっていくだろう。
そして、思い出すかもしれない。もしかしたら、モンゴルの空の下で。

自分の根っこがしっかりとあること。いつでも思い出せる記憶といつでも帰ってこれる場所、仲間がいる。
それだけで、どれだけ子ども達は、安心することか。
きっと、大きなガジュマルのように、たくさん根をはって、堂々と成長していくだろう。
自分の根っこ

そんな子ども達の根っこをずっとつくり続けてきた人がいる。

平田大一さん。

そんな彼らの舞台、もうすぐです。

現代版組踊「翔べ! 尚巴志」
三山統一を果たした英雄・尚巴志。
「鬼鷲」と呼ばれた尚巴志の物語を、沖縄県全域の中高校生が見事に演じきる。

●公演チケット、好評発売中!
●チケット料金:大人2,500円 小人(小中高生)1,000円
●当日券:500円増
*未就学児は膝上無料。席が必要な未就学児は有料
●プレイガイド…リウボウ(パレットくもじ)、沖縄三越、コープあぷれ、譜久原楽器
南城市文化センターシュガーホール
●会場那覇市民会館 大ホール ●公演日時:2009年11月23日(祝・月)
●開演時間:19時 ●本公演の問合せ先…090-6869-7288
http://showthestage.ti-da.net/e2621984.html

自分の根っこ










Posted by bearhand at 20:06│Comments(11)
この記事へのコメント
平田大一が生まれ育った八重山小浜島は豊かで奥深い伝統文化が芸能が今なお生きずく島です。私は大一の父親とは飲み友達でした。竹富町童話話し方大会というのがありましてね、小学生だった大一の童話の発表は群を抜いて目を見張る素晴らしいのもでした。大きくなったら、、と楽しみにしていたとおり小さな島から翔びたち子供達の夢と希望を大きく膨らませるべく頑張っている大一に大きな拍手を送りましょう。生きる根っことは文化であり文化とは魂であり魂の表現の一つが歌であり芸能であり様々な芸術活動ですね。根っことは言葉ではなくそれぞれの魂そのもの、、。花には水を唇に歌を心に太陽を、、教育とは、、、1本1本それぞれ違う花花に水を与えることです、やがては大きくなりそれぞれが個性豊かな色鮮やかな花を咲かせます。いそがずあせらずあわてずにね、、。
Posted by 金星人 at 2009年11月22日 00:28
久しぶりです。御無沙汰ですみません。
平田大一さんとは数年前、東京大学された(車座形式の)講演でお話ししたことがありますが、まさにこのブログの内容みたいなことを聞けました。
また、文化だけでなく、その地域に住む子ども達が地元の歴史を知ることもできてるので、確かに「根っこ」が長く太くなってきているはずです。
Posted by 亜熱帯 at 2009年11月22日 10:28
札幌で生まれ、室蘭→函館→釧路→札幌→名古屋→大阪→スペイン→仙台→ブラジル→仙台→西表島→沖縄本島、てな具合に移動を繰り返してきたので、地元の芸能を学ぶ機会なんてなかった。
故郷の札幌には通算5年、北海道と考えても10年しか住んでないけど、自分が北海道出身ってことは誇りに思ってるし、今でも北海道が大好きです。

でも、根っこが北海道にあるか、というと、違うんだな。

私は根っこを持てなかった。どこかの土地に帰属することはできなかった。どこに住んでいても、いつかはここを出て行くんだという意識があったし。だから、「自己」を確立していくしかない。中学生の時にそう覚悟したんだよね。自分自身がしっかりしていれば、例え流されても真っ直ぐ立っていられるはずだ、って。

1つところに根を張って大木へと成長していくことは、とても素晴らしいし羨ましいけれど、それができないんだから仕方がない。
私は川の水のように、いつまでも流れ続けることによって清くいようって、決めた。

こんな生き方をしてきた私が無理に根を張ろうとしたら、きっと根腐れをおこすだろうな。

ちなみにフィンランドで「日本の歌を歌って!」と頼まれた時、『おぼろ月夜』を歌いました。二人いたらハモりたいところだったけど(笑)
Posted by ちえぞう at 2009年11月23日 00:07
あゆみちゃん、告知と昨日はご来場ありがとう
ございました。

帰りにお礼を言いたかったのですが、見つけきれず
失礼しました。

自分の根っこ。
平田さんは大学時代に東京に出て、島で培ったものが
とても豊かであることに気が付いたそうです。

舞台の子ども達、確かに根っこが太いです。
でも、それ以前に、楽しむ気持ち、感謝の気持ちが
彼らを輝かせているんだろうな…と思います。

私も踊れないし、楽器もできないけど(笑)、
この気持ちは持てるかな、そしてそれが自分の
根っこになるんじゃなかな…なんて思ってます。

1日1ミリでも育てられたらいいよね。
そしたら、1年で3m。
Posted by yurippe at 2009年11月24日 13:28
あ、間違えた。
1年で30cmちょっとか(;;;;)
Posted by yurippe at 2009年11月24日 13:30
>金星人様

ありがとうございます。さすが、金星人さん、お顔がひろい~大一さんの父上までお知り合いだとは。きっと大一さん同様、とっても素敵な方なのでしょうね。
昨日、舞台を見にいってきました。まさに、それぞれが、大輪の華を咲かせてましたよー!
たくさんのパワーを頂きました。
私は、大一さんの足元には、及びませんが、志だけは一緒に、がんばります。
Posted by bearhandbearhand at 2009年11月24日 22:24
>亜熱帯さん

おひさしぶりーです。いいなぁ、私も一回でいいので、ちゃんとお話聞いてみたいです。いっつも、舞台のそばにいらっしゃるのを、盗み見する程度。もちろん主役は、子ども達なのですが。でも、昨日の舞台は、よかったよ~
亜熱帯さんも、たくさん今根っこをはやしているところじゃないでしょうか。今後の報告を楽しみにしております。
Posted by bearhandbearhand at 2009年11月24日 22:28
>ちえ姉さま

フィンランドでおぼろ月夜ってなんかいいなぁ。
白夜っぽくて。
モンゴルで六甲おろしよりは、少なくとも(笑)

そっか、そういう考え方もあるのですね。
中学生でそれを自分で考えつくってすごいわ。

まさに、私の大好きな星野道夫さんの「旅をする木」みたい。ぜひ読んでみて~

今後の生き方の参考にさせて頂きます。
Posted by bearhandbearhand at 2009年11月24日 22:39
>yurippe姉さま

えーと3×365日だから…あっ私も計算できない・・・


いやー昨日は楽しませてもらいました。帰りは、ものすごく混んでいで、お腹も空いていたので、はやばやと帰りました。すみません。

尚巴志のお墓の話もブログで読んでいただけに、本当にだれかに見られてるんじゃないかって思いましたよ。
ノブ君はじめ、みんなの演技、そこまで感じさせるぐらい、素晴らしかったです。

お母さんへのサプライズもよかったなぁ。
私が、母親だったら、どんなにうれしいことか。

ひとりで架空の息子を想像してにやけてました。気が早くてすみません。

未来の息子?も含めて、今後ともよろしくお願いします。

とりあえず、来年の福岡公演、中洲の飲み屋への宣伝&営業はお任せください!
Posted by bearhandbearhand at 2009年11月24日 22:48
根っこ!
男は生まれ育った所にすでに根がはり何処にあれども抜いても抜けないものです。女は川の流れるまま流れ着いた所に根を下ろすといいます。流れ着いた沖縄で色男に出会い目出度く生まれ育った子供は立派なウチナンチューなのです。よう〜んなよう〜んな、急がず慌てず焦らずにね なんくるないん! 金星人
Posted by 金星人 at 2009年11月25日 02:16
ドキっ!

そうですね~
流れついてものの、しかし、たくさん色男がいるので、大変ですわー(笑)

川は、ながれーてどこどこいくの~ですね。

ありがとうございます。
Posted by bearhand at 2009年11月26日 13:39
 
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